弓引く豆挽く麺を引く―手延べ麺途中経過1―

■総論
伸ばせる生地の作り方と伸ばし方との両方の技術が必要。より難易度が高いのは生地の方だが、伸ばす方も決して簡単というわけではない。また、初心者には、伸ばせる生地になっているのかどうかの判断自体そもそも難しい。伸ばしに失敗した場合、生地が未完成なのか伸ばす技術の不足なのか判断できない。

寝かせ:初心者には必要の模様
冷蔵庫:絶対NG
水:寝かす場合、(約)61-2-6%を最初に一気に(60%で試行)
塩:1-2-3%を小麦粉に混ぜて(1.5-1.8%で試行)
捏ね方:一定の方向に伸ばして折りたたんでの反復
伸ばし方:伸ばしたらすぐ台の上に置く、握りは前にその都度持ち直す

■生地の作り方

●50%程度の水で始めて、足していくのも難しいし(給水が追いつかないような感覚)、60%程度だとべたついて難しい(乾いてくれないような感覚)。可能性としては、分量は目安なのであって、現場の状況や環境に対応することが求められる、ということなのかもしれない。
●高度の捏ね方その他の技術があれば、寝かす時間を短縮したり、0や0に近くしたりは可能の模様だが、初心者には厳しい。2h~3hか(初心の内は更に)それ以上かが目安のようである。パン作り等の経験者なら違うかもしれないが、同じようなことをやっているように見えたとしても、初心者には圧倒的に捏ね方等の技術が伴わないことの方が多いらしい。ただ、寝かせれば解決するかといえばそういうわけではない。
●生地を冷蔵庫に入れて寝かすのは、絶対にNGと心得よ。常温、室温、30度近くでよい。ある日本のうどんの企業様では、28度で2時間寝かす、とのご共有。
●中国や中央アジアのご家庭では、恐らく先に生地をまとめ、その他の調理等して、その後、麺に伸ばすみたいな形なのだと思われる。つまり、20~30~45~60~75~90分くらい寝かすことになる。だが、それが真似できるかは別問題で、それを補うものが一定以上長時間の寝かしなのだ、と考えてよい。
●最初の生地のまとめ方は捏ね方とは別の作業。大体まとまったら、ボールから出して台の上でまとめてよい。一定の短時間内(2、3分程度か)で済ませた方がよいというご共有も、また、寝かすのであれば最初からは捏ねない方がよいとのご共有も。
●捏ね方1(台に押し付けつつ両掌底で斜めにするような感じで2の一定の方向に伸ばす)、2(一定の同じ方向に伸ばして畳むことの繰り返し)、3(ツイストして畳む)。2が最も重要の模様(なので便宜上捏ねると言っているが引っ張って折りたたむみたいな作業がメイン)。3は2のバリエーションの1種。
●15分くらい捏ねれば、生地は麺に伸ばせる状態になる。逆に言えば、その時間でできないのなら何かが不完全ということ。5分過ぎても折りたためない場合、10gずつ計2回(約68%~約72%)水を加算というご共有も。なお、当然、その15分以内で麺に伸ばせない場合、(最初に考えられるのは水分量だが)生地の状態が何かしら変わってしまう、という可能性が高いものと思われ、対応が必要になるものと思われる。
●私の場合、7.5hくらい寝かせたとしても、15分3Rくらいやって、やっと何とか食べられるものが少しできる程度だ。手だと45分くらい捏ねる必要有りというご共有もあるので、近付いているのかもしれないが、何かが根本的に間違っているのかもしれない。
●塩は、生地の1-2-3%くらいまでは恐らく問題無い。日本のうどんには10%やそれ以上入れるものがあるそうだが、どうやら前日に仕込む等の商業上の要請が大きい模様。
●途中で塩を加えた場合、効果はすぐには出ないので15分くらいでよいと思われるが休ませる。
●生地を休ませた後、何回か伸ばそうと試してもどうしても伸びない場合は、少量の水を加えざるを得ない。
●油使わない派と、油使う派とに分かれるのかもしれない(使う派の方が水分量が少ないような印象)。その2つは、別の技術体系のようで、片方ができれば片方もできるということではない模様である。どちらでもおいしい麺にはなるようだし、程度はともあれ折衷している方が普通とさえ言えるのかもしれない。油の使用については、どうすべきか引き続き検討を重ねる。
●塩、油以外の添加物、かん(鹹)水、重曹、卵、その他の使用についても、情報収集を継続するが、原則使わない方向で考える。
●必要なものを加算・減算調整するのは、成功例の体験も無く、そばに先生もいない初心者にはもの凄く難しいことのようにも思われるが、他に方法が無いようだ。

■伸ばし方
●初心の内は、1回伸ばす度に、その都度すぐ台に麺を置くことを意識。というよりも寧ろ台スレスレで作業した方がよいかもしれない。
●初心の内は、最後に切り取る部分が1回1回増えて行くように真ん中に近い側へと毎回持ち直していくことを意識。
●初心の内は、大量の打ち粉が必要と覚悟すべし。
●打ち粉をまぶした後の生地に、少量の水を加えて捏ねて再生させてから再挑戦してよい。

■経緯及び所感
まだ麺にはなっていないが、何とか食べられるものが、少しだけだができた。以前は、全く食べられないようなものしかできなかった。何とか食べられるものができたのは2度目だが、前回は偶然のような感じで、再現性が無かった。今回は、再現性があるように思われるので、備忘録として記す。

■追記
諸先生が、科学的なご内容について、様々ご共有くださる。大変、勉強になる。だが、科学的に全て解明できているのかといえば、そういうわけでもない模様だ。製麺が上手く行った際の技術的なことや経験的なことと、科学的なご内容とが、そのお話の通り一致しているのかどうか、専門の科学者でない人間には、理解が非常に難しい可能性もある。そもそも、その分野の専門家でない人間に正しく理解できるかどうか非常に危ういとさえいえるのかしれない。自然科学的なご内容のご共有について、勘違いしないよう、引き続き注意していく所存だ。